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[musictrack出張所--tabris@Iskandal] [ヤマトサウンド耳コピ作品ストリーミング配信サイト--宇宙戦艦ヤマトの音楽]

聴かれない音

開始から1日平均3小節程度という異例のスロースピードで進めた「テレサ」の耳スキャンが昨晩終了し、今日からレコーディング調節に入る。前作の「想人」はリスナーには不評だが、自分なりにStringsについての表現技術が確立できたという点で非常に意義深い作品となった。今回、その技術をフルに投入している。 Stringsの音採りにもかなり自信がつき、拾えている音も増えたのではないかと自負している。

しかしこの「テレサ」普通に聴こえる以上にたくさん音が隠れていた。 DIVIDERによる mono L,R, L+R, L-R, L⇔R で繰り返し聴いて初めて聴こえてくる音もある。耳コピしている者の最大の特権だが、例えばStrings partだけを再生して聴くという楽しみがある。こうして聴くと「テレサ」はそれまで思っていた以上に美しいHarmonyにあふれていた。反物質世界の住人テレサ(映画版)の眩いばかりの美しさにふさわしい。

苦労してやっと拾えた細弱音もたくさんあるのだが、それはリスナーに意識されないだろうなと思いつつ、あえて再び細弱音で加えていく。文化遺産の宗教画を復元する仕事をする職人の話によればそういった宗教画は見物人には決して見られないような細部にまできちんと描かれているのだそうだ。それは人に見せるためではなく神や仏に捧げる為のものだからだ。自分の拙作をそのような高尚なものと並べるつもりなど毛頭無いが、少年時代にはるかロマンの世界にいざなってくれたヤマトに、そして宮川先生の音楽に、心から敬意と感謝をこめて作っていきたい。