イスカンダルの旅を今日も楽しんだ。
まぁ実際には音拾いがこれまでになく困難で、二日かけて4小節を拾ったりなんてことになっている。それでも安易な妥協はすぐに音になって跳ね返ってくるから残り時間に焦りを感じながらもじっくりと拾っているつもりだ。
今回はゆったりとしたBrassに相当手こずっている。これまで身につけたあらゆる耳スキャン技術を投入しているのだが、実に時間がかかっている。倍音がひどく目立つので本当の音がどれなのか分からなくなる。同じ小節を何十分も聴いているとゴースト(ありもしない音)すら現れ始める。ヘッドフォンを外しコーヒーを啜る。耳が休まったらまた再開。実にゆるやかで贅沢な時間。
しかし、人間の耳とはつくづく面白い仕組みを持っているものだ。意識の持って行き方ひとつで音が聴こえたり聴こえなかったりするのだから。意識の上で共鳴させるといった感じだろうか。音を耳にしつつ意識の周波数を回してチャンネルを合わせているとき、実際にFourier解析をやっている、というか自分がFourier分析器になったような感覚になる。聴こえたり聴こえなかったりはまさにこの「チャンネル合わせ」によるものなのだ。
さて、「イスカンダル」は第一の山場を越えた。旅はまだまだ続く。