この詩は
妹の下の娘が予定日よりも早く生まれて来た時に
随分とせっかちだなぁなどと思いながら書きました。
それにしても赤子とは本当にまっさらな存在です。
このまっさらで幸せな存在に
しかしどうしても人間存在の根源的な哀しみを
分け与えてしまわなければならないことを
僕の大好きな吉野弘さんは嘆いていました。
それでも
およそ己の哀しみや
存在利益のためだけに生きることの不毛さに
いつか歳を重ねるに従い気付くものなのでしょうか。
未熟者も未熟なりにできる範囲で
考えを巡らす地道な訓練を続け
人に対する想像力の羽を少しずつひろげていきたい、などと
柄にもなく改めて思う元日。
そして明日から、台風の目の娘二人が遊びに来ます。
ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ .:*・゚♡゚・*:.ღ .♡.ღ
Hello World !!
やぁ よくきたね
上から見ていてよく知っているだろうけど
5万年経った今も
殺し合いはなくなりません
奪い合いや争いのない朝は
一度も訪れたことがないし
飢えと寒さと恐怖で眠れない人のいない夜を
きいたことがありません
そしてこの世界の比較的たくさんの人が
悲しみと苦しみに沈んでいます
それでも
原爆の劫火に全身焼かれながらも
何一つない暗がりで産まれくる赤子を取り上げ
息をひきとっていった産婆がいます
ただひたすらまわりの人を励まし祈りつづけ
他の囚人の身代わりに処刑室へ歩み出た
アウシュビッツの神父がいます
何世紀にもわたりたくさんの人の心をなぐさめる
美しい音楽をつくった人もいます
悲嘆に暮れる多くの人に
光と生きる力を与えつづける言葉を綴った人もいます
盲学校に40年間
オルゴールを匿名で寄付し続ける人の話や
チェルノブイリで甲状腺の手術を
無償で続ける医者の話もあります
いえ よくよく目を凝らせば
この世界の比較的たくさんの人が
他の人の幸福を思い考え
手を携え助け合っていることに
気付くでしょう
そんなに慌てて産まれなくても
大丈夫
ここは
とても良い世界でも
とても悪い世界でもないのです
すべてはあなた次第
ようこそ
喜びと悲しみに満ちた
この世界へ
2003/08/04 Life より